カッコイイ平家男子の宝庫!『建礼門院右京大夫集』って、どんなお話?(平家系図)

「もう一つの平家物語」とも言われる『健礼門院右京大夫集』とは、どんな古典文学作品なのでしょうか。『建礼門院右京大夫集』が書かれたわけを、漫画でどうぞ。

『建礼門院右京大夫集』<1・359・360・361番詞書>より 
古文の建礼門院右京大夫集と平家物語の、源平合戦のあとの、えこぶんこのあらすじ解説漫画イラストです
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漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。

◆解説目次◆ ・建礼門院右京大夫集とは
・右京大夫ってどんな人
・永遠の恋人・平資盛
・意外と明るい前半・宮仕え編
・一目でわかる・平家略系図

建礼門院右京大夫集とは


『建礼門院右京大夫集』は、中宮・平徳子(建礼門院)に仕えた女房、右京大夫が書き記した歌集です。
歌集と位置づけられていますが、詞書には、その歌を読んだ場面が活き活きと綴られ、まるで日記か物語を読んでいるかのよう。人物の様子がありありと伝わってきます。

気分は平安末期の宮中にタイムスリップ!

右京大夫ってどんな人


能書家の父・箏の名手を母に持つ、有能な女性でした。

右京の大夫の父・伊之は、三蹟の一人・藤原行成の六代目の子孫で、この家系は代々能書家として知られ「世尊寺家」と呼ばれています。伊之は、『源氏物語』の現存最古の注釈書『源氏物語釈』を著したことでも知られています。

母・夕霧は、楽師の娘で筝の名人でした。

父からは文学の才能を、母からは管弦の才能を受け継いだのでしょうね。宮廷女房として、その才能を発揮していきます。



永遠の恋人・平資盛


右京大夫に、この名作を書かしめた最大のファクターは、何と言っても、生涯の恋人・平資盛(たいらのすけもり)の存在でしょう。といっても、右京大夫と資盛は、現実的な意味では幸せに結ばれたとは言い難い・・・。

資盛には政略結婚とはいえ正妻もいます。右京大夫と恋仲になってからも、つれなかったり長い間ほったらかしたりと、マメとは言い難い態度
右京大夫の方も、資盛との冷めた関係のスキを突かれ、言い寄ってきた他の男性(藤原隆信)とも関係を持ったりします。

そんな感じでありながらも、交際が続いて7〜8年。
そこに突然訪れる、思いもかけない状況。
治承寿永の乱(いわゆる源平合戦)です。

華やかな殿上人から一気に転落し、悲惨な戦地に追いやられた資盛。
そんな彼が最期に心のよすがにしたものが、右京大夫の彼への愛でした

遠い西国の戦地から一通の手紙を右京大夫の元へ送った後、資盛は、あっという間に壇ノ浦の海の底に沈んでしまいます。
何も伝えることも出来ないまま、突然消えてしまった恋人。右京大夫は、彼の想いと、彼の生きた証を胸に抱きながら、生涯を生きなければならなくなりました。

『建礼門院右京大夫集』は、その悲劇を経てから後に、彼女自身の手によって少しずつまとめられた作品だと言われています。
たくさんの和歌と、様々なエピソード。その合間に合間に、繰り返し繰り返し、資盛のさりげない仕草や、些細なやり取りを思い出す記述が挟まれます。

彼女は、今となっては伝える相手もいない、それでも湧き上がる行き場のない想いを、和歌に詠み、言葉に綴ることで、昇華させようとしていたのではないでしょうか。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 

もともと他人に見せるつもりではなかったこの作品が、世に出るきっかけとなったのは、藤原定家が、『新勅撰和歌集』を編纂する際に、彼女に詠草を求めてきたことでした。彼女が定家に渡したこの作品は、やがて多くの人に読まれていくようになります。


意外と明るい前半・宮仕え編


こう書くと、涙々の悲しい歌集なのかという気がしてきますが、そんなことはありません!

前半部分、右京大夫が中宮・平徳子の女房として宮仕えしていた頃の話には、華やかな宮中の様子、殿上人と女房たちの他愛のない戯れなど、明るい世界が描かれています

特に筆致が冴えるのが、当時栄華を極めていた平家の公達の個性あふれるエピソード!
見目よく、個性的で、機知に富んだ彼らの闊達な様子が目の前に浮かぶようです。
(その分、突然その明るさが崩壊する後半の悲しみが際立つのではありますが・・・)

次回からは、そんな平家の公達と右京大夫の楽しいエピソードを漫画にしていきます。


一目でわかる・平家略系図


平家の公達を系図(生まれ年付)にまとめました。
平家物語の平氏と平家系図の、平清盛と維盛と重衡と右京大夫の、えこぶんこのあらすじ解説漫画イラストです

右京大夫が徳子の女房として宮仕えしていたのは 1173~1178年の五年間ですから、宮中で交流していた頃、彼らはまだ十代後半〜二十歳そこそこです。(元服しているので、当時はもう大人扱い)

そう・・・・・若いんです!


建礼門院右京大夫集 全訳注 (講談社学術文庫)



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※参考文献/「建礼門院右京大夫集・とはずがたり」新編日本古典文学全集(小学館)久保田淳氏/「建礼門院右京大夫集全注釈」(講談社)糸賀きみ江氏/「平家物語」新日本古典文学大系(岩波書店)梶原正昭氏・山下宏明氏

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【記事一覧】他のお話はこちらからどうぞ!

【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】
<プロローグ>
■建礼門院右京大夫集ってどんなお話? 1

<これが平家の公達だ!編>
■スーパーアイドル!平維盛 1
■唯一の弱点?!維盛の恋愛問題 1
■平家のムードメーカー!平重衡
■真面目な琵琶名人!平経正 1
■主役登場はさりげなく!平資盛 1

<資盛との恋~宮中編~>
■恋なんてしないはずが?資盛のアプローチ
■忘れていたのはどっち?資盛の挑発
■雪のあした。資盛、突然の訪れ
■バレたくなかった!重衡・維盛の反応 1
■右近の橘!雪の資盛in宮中

<宮中エピソード編>
■内裏近き火事。頼もしい平重盛
■後白河院最愛の美女!建春門院滋子登場
■本気で褒めたのに!高倉天皇の優しさ
■五節の櫛!平宗盛のプレゼント

<隆信との恋編>
■どういうつもり!藤原隆信の横恋慕 1
■右京大夫、宮仕えやめるってよ
■わたしは何なの?隆信の結婚
■恋は追う方が負け?隆信の失言

<平家滅亡編>
■遠くに聞くだけ。資盛の熊野詣
■資盛との再会■枯れたる花
■寿永二年■倶利伽羅峠の惨敗!
■平家都落■資盛、最後の願い
■資盛と右京大夫、今生の別れ!
■六波羅と西八条■大宰府落ち
■風のおびただしく吹く所
■梅の花と資盛■一の谷の合戦
■重衡の生け捕り■維盛の入水
■屋島の資盛へ手紙を
■資盛からの最後の便り!
■壇ノ浦の戦い! ■壇ノ浦の戦後処理

<追憶の旅編>
■北山の思い出
■大原へ。建礼門院を訪ねて 1
■右京大夫、旅に出る
■比叡坂本、雪の朝の思い出
■波の底の資盛に■星合の空

<再出仕編>
■後鳥羽天皇に仕える
■宮中で資盛の名を聞く
■藤原隆房、藤原公経との贈答
■藤原俊成九十の賀に

【コラム】
■平家物語登場人物ランキング!
■平家物語名言集!
■平家美男子カタログ!平家花揃が面白い
■平家物語おすすめ本7選!
■平家が題材の江戸川柳が面白い|
■平家物語あらすじと見所