比叡坂本、雪の朝の思い出【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】資盛は少将だったのか
都を離れ旅に出た右京大夫は、比叡坂本へ。橘の木に降る雪を見て、思い出したのは・・・。
あらすじを漫画でどうぞ。
『建礼門院右京大夫集』<246歌詞書>より
右京大夫(うきょうのだいぶ)
平徳子(建礼門院)に仕えていた女房。
平資盛(たいらのすけもり)
清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。
右京大夫が向かった先は、比叡山の東麓、坂本。
逢坂の関を越えて、それほど隔たっているわけではないのに、雪が空を暗くし山おろしの風が吹く様子は、都とは別世界。雁の声が、いっそう寂しさをかき立てます。
この宿で右京大夫は、橘の木につもる雪を見て、ある朝のことを思い出します。
それは、内裏に雪が積もった朝のこと。
資盛が、雪のついたままの橘の枝を持って佇んでいるところを見かけた右京大夫。
「なぜ橘の枝を持っていらっしゃるの?」と尋ねると、
「(右近権少将である)自分にゆかりがある木だから…」と答えた資盛。
雪の朝の美しい恋人の思い出です。
※このエピソードの詳細は、こちらの過去記事を参照ください。
結局、どこにいても、何を見ても、資盛を思い出す右京大夫なのでした。
雪の朝、橘の枝を持って佇む美しい公達。
それは、恋人・少将平資盛。
作中でも屈指の名場面なんですが、この美しい世界に水を差す、ある議論が・・・
それは・・・
「資盛ってこの時、少将じゃないんじゃねえの?」問題。
以前の記事でも触れましたが、
ということは・・・、
右京大夫が宮中に勤務していたころ、資盛はまだ少将ではなかったことになります。
何が問題なの?って、
資盛が少将じゃなかったら、橘の枝を持ってる理由がなくなるからです。
近衛少将と橘の関係についてはこちらの記事を…(しつこい)
この矛盾をどう捉えたらいいんでしょう。
公卿補任の記載が違っているのか、それとも、右京大夫の妄想(…もとい創作)なのか。
タイムスリップでもして調べてみたいところですが…
それはさておき、248歌詞書は、
雪の朝の冴えた空気の中に、橘の爽やかな色と香りとともに、若い資盛の清らかな姿が目に浮かぶ、とても美しい章段です。
ここはひとまず、野暮なツッコミは置いておいて、この美しい追憶の世界を味わおうじゃありませんか。
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『建礼門院右京大夫集』<246歌詞書>より
漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。
登場人物
平徳子(建礼門院)に仕えていた女房。
平資盛(たいらのすけもり)
清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。
いづくもかりの 宿ときこゆる
逢坂の関を越えて、それほど隔たっているわけではないのに、雪が空を暗くし山おろしの風が吹く様子は、都とは別世界。雁の声が、いっそう寂しさをかき立てます。
246歌
憂きことは、所がらかと のがるれど いづくもかりの 宿ときこゆる
●現代語訳●
つらいのは場所のせいかと考えて都を逃れてきたけれど、この世はどこも仮の宿であるかというように、雁の声が聞こえてくる。
憂きことは、所がらかと のがるれど いづくもかりの 宿ときこゆる
●現代語訳●
つらいのは場所のせいかと考えて都を逃れてきたけれど、この世はどこも仮の宿であるかというように、雁の声が聞こえてくる。
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この宿で右京大夫は、橘の木につもる雪を見て、ある朝のことを思い出します。
それは、内裏に雪が積もった朝のこと。
資盛が、雪のついたままの橘の枝を持って佇んでいるところを見かけた右京大夫。
「なぜ橘の枝を持っていらっしゃるの?」と尋ねると、
「(右近権少将である)自分にゆかりがある木だから…」と答えた資盛。
雪の朝の美しい恋人の思い出です。
※このエピソードの詳細は、こちらの過去記事を参照ください。
結局、どこにいても、何を見ても、資盛を思い出す右京大夫なのでした。
資盛は近衛少将だったのか問題!
それは、恋人・少将平資盛。
作中でも屈指の名場面なんですが、この美しい世界に水を差す、ある議論が・・・
それは・・・
「資盛ってこの時、少将じゃないんじゃねえの?」問題。
以前の記事でも触れましたが、
ということは・・・、
右京大夫が宮中に勤務していたころ、資盛はまだ少将ではなかったことになります。
何が問題なの?って、
資盛が少将じゃなかったら、橘の枝を持ってる理由がなくなるからです。
近衛少将と橘の関係についてはこちらの記事を…(しつこい)
この矛盾をどう捉えたらいいんでしょう。
公卿補任の記載が違っているのか、それとも、右京大夫の妄想(…もとい創作)なのか。
タイムスリップでもして調べてみたいところですが…
それはさておき、248歌詞書は、
雪の朝の冴えた空気の中に、橘の爽やかな色と香りとともに、若い資盛の清らかな姿が目に浮かぶ、とても美しい章段です。
ここはひとまず、野暮なツッコミは置いておいて、この美しい追憶の世界を味わおうじゃありませんか。
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