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『平家物語』名言を集めました!【原文・現代語訳】

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「平家物語」名言集! 今回は、コラムです。 「平家物語」の名言 を集めてみました。早速どうぞ! (ここで引用したものは覚一本です。諸本については、 こちら の記事を参照ください。) ◆目次◆ ・名言ー世の習い編ー ・名言ー武士の習い編ー ・名言ー親子の習い編ー ・平家略系図 名言ー世の習い編- ■平重盛  たいらのしげもり 此事ゆめゆめ御けしきにも御詞にも出させ給ふべからず。人に心づけがほに、なかなかあしき御事なり。 【現代語訳】 このようなことは、けっして御態度にも、御言葉にも出してはいけません。人に気づかせることになって、かえって悪い結果を生むでしょう。 「巻一 清水寺炎上」  父・清盛を諫めることに関しては定評のある、 平重盛 の名言です。 永万元年(1165)「後白河院が延暦寺に命じ、平家を追討する」という噂が立ちました。 事実ではなかったのですが、 「後白河院も、普段から平家のことをそのように考えているから、噂にもなったのだろう」 と言った清盛に対し、 重盛が 「そんなことは思っても口にしてはいけない」 と釘を刺したのが、このセリフ。 後に鹿ケ谷の陰謀で平家を敵に回す後白河院ですが、この時点では確実な動きはありません。 人に対してなんかモヤモヤしたとき、「あの人ってさぁ・・・」って口にしてしまってから、ますます嫌いになったりしますよね。 なってほしくないことは、口にしてはいけないということです。 ■平重盛  たいらのしげもり 人の運命の傾かんとては、必ず悪事を思ひたち候なり。 【現代語訳】 人の運命が傾きかけるときは、必ず悪事を思い立つものです。 「巻二 教訓状」 ふたたび、父を諫める平重盛。 治承元年(1177)、鹿ケ谷の陰謀が発覚後、後白河院を幽閉しようと言った清盛に対し、重盛が諫めたセリフ。 清盛は、自分の正義に基づいて行動しているので、そんなつもりはないのですが、重盛から見れば、 平家の運命が傾きかけているからこそ思いつく「悪事」 に見えたのです。 追い詰められたら人は悪事を思いつく 、という真理を突いています。 (実際に後白河院が幽閉されるのは、もっと後、重盛の没後です。) ■静憲法印  じょうけんほういん 耳を信じて目を疑うは俗の常

五節の櫛!平宗盛からのプレゼント。【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】|平家物語

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またまた平家の大物登場!平宗盛から右京大夫にプレゼント? あらすじを漫画でどうぞ。 『建礼門院右京大夫集』<59~60番詞書>より  漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。 ◆解説目次◆ ・登場人物 ・五節の櫛は友チョコ? ・平家最期の総帥・平宗盛 登場人物 平宗盛 たいらのむねもり 平清盛の三男。(時子の子の中では長男) 右京大夫 うきょうのだいぶ 中宮・平徳子に仕える女房。 五節の櫛は友チョコ? おい、右京大夫。  と思わずツッコミたくなりますが、二人は別にあやしい仲ではありません。 当時、五節(新嘗祭・大嘗祭に行われた行事)の頃に、 親しい人の間で櫛を贈答する 、という習慣があったようです。 今でいうバレンタインデー(ホワイトデー?)みたいなものでしょうか。 何やら意味深な贈答をしていますが、この二人に恋愛感情があったわけではなくて、よくある貴族の社交辞令だったようです。 友チョコですね。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ だいたい、こういう意味深な和歌をもらったら、女性側は   「そんな調子のいいことを言って、どうせすぐに忘れちゃうんでしょう?」  とか  「どうせほかの人にも、おんなじようなこと言ってるんでしょう?」 みたいなツンデレ対応をするのが定番ですが(重衡のときみたいに・・・)、 参考記事 バレたくなかった! 重衡・維盛、まさかの反応-2   ここは右京大夫は、素直な歌を返していますね。 やはり、相手が中宮さまの同母長兄・中納言ですから、失礼のないようにしたんでしょうか。 右京大夫の交友関係の広さにはびっくりしますね。 それにしても、後に平家の総帥になる宗盛も、女子とこんなオシャレなやりとりをする人だったんですね。意外です。 平家物語で、苦労している姿しか知らない・・・ 平家最後の総帥・平宗盛 平宗盛は、清盛の三男。時子の子の中では長子です。 治承五年(1181)宗盛は、五畿内および伊賀・伊勢・近江・丹波の九ヶ国の惣官に就任。合法的に兵を動員できる実質の国家の軍事トップに立ちます。清盛の没後は、惣官として追討使の派遣を指揮しつつ、後白河院や他の公卿との調整に奔走しました。  平家を立て直せず滅亡に導いた凡庸な総帥として『平家

本気で褒めたのに!高倉天皇のやさしさ【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】|平家物語

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月の美しい夜、素晴らしい笛の音が聞こえてきました。右京大夫は思わず褒めちぎるのですが・・・。 まずはあらすじを漫画でどうぞ。 『建礼門院右京大夫集』<12~13番詞書>より  漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。 ◆解説目次◆ ・登場人物 ・高倉天皇・・・優しい!! ・平家政権の屋台骨・高倉上皇の若すぎた崩御 登場人物 高倉天皇  たかくらてんのう 第80代天皇。父は後白河法皇。母は建春門院(滋子)。 右京大夫   うきょうのだいぶ 中宮・徳子に仕える女房。 高倉天皇・・・優しい!! 今回は、高倉天皇の笛にまつわるお話です。 右京大夫の祖父(大神基政)は笛の名手であり、母(夕霧)は箏の名手、右京大夫自身も箏を得意としています。そんな右京大夫ですから、 音楽の巧拙を聴き分ける耳を持っていた はずです。 おべんちゃらで褒めた訳ではないのに、高倉天皇に「そら言」と言われ、傷ついちゃったのですね。それにしても、その後の高倉天皇の対応が素晴らしい。  右京大夫の立場では高倉天皇と直接言葉を交わすことはできませんので、このやりとりは伝言ゲーム方式で行われたのですが、高倉天皇の大らかな気性が伝わってくるエピソードですね。  女房に過ぎない右京大夫にまで心を配れる、優しい方だったんでしょうね。 平家政権の屋台骨・高倉上皇の若すぎた崩御 高倉天皇 は、第80代天皇。父は後白河院。母は前回登場した建春門院滋子です。 六条天皇(五歳)の譲位を受けて、八歳で即位しました。 承安元年(1171)徳子が入内したとき、高倉天皇は十二歳、徳子は十八歳でした。 高倉天皇に清盛の娘・徳子を入内させることには、周囲の反対もありましたが、建春門院滋子の取り成しにより成立したと言われています。  六歳差の政略結婚でしたが、右京大夫集を読む限り、高倉天皇と徳子の仲は良好だったように思われます。ただ、平家一門の期待を一身に背負う立場で宮中に放り込まれた徳子には、壮絶なプレッシャーがあったことでしょう。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 治承二年(1178)、徳子に待望の皇子、 言仁親王 (後の安徳天皇)が生まれます。治承四年(1180)高倉天皇は言仁親王に譲位し、ついに清盛は天皇の外祖父になりました。

後白河院最愛の美女!滋子の訪れ【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】|平家と平氏の違い

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平家の命運を切り開いた美女、建春門院滋子登場! まずは、あらすじを漫画でどうぞ。 『建礼門院右京大夫集』<88~89番詞書>より  漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。 ◆解説目次◆ ・登場人物 ・後白河院と平家をつないだ架け橋、平滋子 ・「平家」と「平氏」何が違うの? 登場人物 建春門院(平滋子)  けんしゅんもんいん(たいらのしげこ) 後白河法皇の后。高倉天皇の生母。平時子の異母妹。 平徳子   たいらのとくこ(とくし・のりこ)     高倉天皇の中宮。 平知盛   たいらのとももり   清盛の四男。徳子の兄。 右京大夫   うきょうのだいぶ 中宮・徳子に仕える女房。 後白河院と平家をつないだ架け橋、平滋子  平家の命運は、 滋子によって開かれ、滋子ともに尽きた 、と言っても過言ではないと思います。 建春門院(滋子) は、清盛の正妻・平時子の異母妹です。 中宮・徳子にとっては、夫(高倉天皇)の母でもあり、自分の叔母でもあります。 んっ?系図をどうぞ。 滋子の父は鳥羽法皇の近臣でした。滋子が上西門院(後白河院の姉)に仕えていたときに、後白河院に見染められ、寵愛を一身に受けるようになります。 応保元年(1161)、後白河院と滋子の間に、憲仁親王が生まれます。 後白河院と清盛は、必ずしも政治的に意見が合致していたわけではありませんが、滋子の産んだ 憲仁親王(高倉天皇)を擁立することで利害が一致 し、以降、後白河院と清盛の連携が深まっていきます。 高倉天皇 が即位すると、滋子は皇太后になります。 滋子は美しいだけではなく聡明な女性で、後白河院が不在の場合には、院に代わって日常的な政務を代行したとも言われています。 ところが、 安元二年(1176)滋子は 三十五歳の若さで生涯を閉じます。 後白河院と清盛は齟齬を内包しつつも、滋子の存在によって両者の均衡が保たれていたのですが、滋子の崩御によって、対立が顕在化していくことになります。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 後白河院と滋子の親愛ぶりは他に例をみないほどで、滋子はいつも側につきそい、熊野や厳島にも同行していました。安元二年には、ともに有馬温泉に湯治に出かけています。 後白河院の寵愛を受けた女性は(男性も)、沢
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維盛の恋愛問題 ムードメーカー!平重衡 資盛、突然の訪れ バレたくなかった 高倉天皇の優しさ 隆信の横恋慕 資盛と右京、今生の別れ 戦地の資盛の夢を見る 重衡の生け捕り 維盛の入水 平家花揃えが面白い 人物ランキング
【記事一覧】他のお話はこちらからどうぞ!

【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】
<プロローグ>
■建礼門院右京大夫集ってどんなお話? 1

<これが平家の公達だ!編>
■スーパーアイドル!平維盛 1
■唯一の弱点?!維盛の恋愛問題 1
■平家のムードメーカー!平重衡
■真面目な琵琶名人!平経正 1
■主役登場はさりげなく!平資盛 1

<資盛との恋~宮中編~>
■恋なんてしないはずが?資盛のアプローチ
■忘れていたのはどっち?資盛の挑発
■雪のあした。資盛、突然の訪れ
■バレたくなかった!重衡・維盛の反応 1
■右近の橘!雪の資盛

<宮中エピソード編>
■内裏近き火事。頼もしい平重盛
■後白河院最愛の美女!建春門院滋子登場
■本気で褒めたのに!高倉天皇の優しさ
■五節の櫛!平宗盛のプレゼント

<隆信との恋編>
■どういうつもり!藤原隆信の横恋慕 1
■右京大夫、宮仕えやめるってよ
■わたしは何なの?隆信の結婚
■恋は追う方が負け?

<平家滅亡編>
■遠くに聞くだけ。資盛の熊野詣
■資盛との再会■枯れたる花
■寿永二年■倶利伽羅峠の惨敗!
■平家都落■資盛、最後の願い
■資盛と右京大夫、今生の別れ!
■六波羅と西八条■大宰府落ち
■戦地の資盛の夢を見る
■梅の花と資盛■一の谷の合戦
■重衡の生け捕り■維盛の入水
■屋島の資盛へ手紙を
■資盛からの最後の便り!
■壇ノ浦の戦い! ■壇ノ浦の戦後処理

<追憶の旅編>
■北山の思い出
■大原へ。建礼門院を訪ねて 1
■右京大夫、旅に出る
■比叡坂本、雪の朝の思い出
■波の底の資盛に■星合の空

<再出仕編>
■後鳥羽天皇に仕える
■宮中で資盛の名を聞く
■藤原隆房、藤原公経との贈答
■藤原俊成九十の賀に

<エピローグ>
■読み継がれる右京大夫集

【コラム】
■平家物語登場人物ランキング!
■平家物語名言集!
■平家美男子カタログ!平家花揃が面白い
■平家物語おすすめ本7選!
■平家が題材の江戸川柳が面白い|
■平家物語あらすじと見所