ついに、資盛と右京大夫、今生の別れのとき。戦地に赴く資盛の心の内には、悲愴な覚悟があった。
あらすじを漫画でどうぞ。
『建礼門院右京大夫集』<205番詞書>より
登場人物
平資盛(たいらのすけもり)
清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。
右京大夫(うきょうのだいぶ)
中宮・徳子に仕える女房。現在は退職。
寿永元暦の夢まぼろし
この段は、下手な解説より、ぜひ原文を味わってみてください。
原文のクオリティがすごいので!
205番詞書は、今までの明るく平和な雰囲気から一転、戦乱の悲劇を語る次の名文で始まります。
※原文は、『新編全集』(小学館)より抜粋
ここから、かつて華やかな宮中で交流しあった平家の公達たちの悲劇が始まります。
清経、
経正、
忠度、
重衡、
維盛・・・・ そして、
資盛。
今まで、宮中での明るく優しい彼らの姿を読んできただけに、読み進めるのが辛くなりますね。
戦地へ向かう資盛の葛藤
『右京大夫集』の中で、都落ち以前の資盛の描写は、意外にもそれほど多くはないのですが(むしろ維盛の方が多いくらい)、
205番詞書で資盛は、
戦乱に臨む悲愴な覚悟を長文で切々と語ります。 (上の漫画のシーンです)
こちらも、是非原文でどうぞ。
資盛は、彼女の前で、決してカッコつけたりしていませんね。
心弱さを情けない、と思っていると正直に話しています。
等身大の、一人の青年の苦渋が、手に取るように伝わってきて辛いですね。
『平家物語』などで
「大将軍、小松新三位中将資盛、其勢三千騎・・・」(三草合戦)とか言われてしまうと、見落としそうになる部分です。
『平家物語』で大将軍として描写されている彼らも、『右京大夫集』を読んでいると、私たちと同じひとりの人間で、恋をしたり、苦悩したりしていたことがわかります。
決して、意気揚々と戦場に向かっていったわけではないことも伝わってきますね。
このとき
資盛はまだ、23歳(満21〜22歳)です。
これが、右京大夫と資盛の今生の別れとなりました。
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寿永二年は、まだまだ滅亡への序章に過ぎません。いよいよここから、一ノ谷の戦い、屋島の戦い、といった源平の合戦が始まります。 コラムを挟んで、次回に続きます。
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