平家のムードメーカー!平重衡【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】|平家物語

平重衡は、平家一門主流、期待のエース。文武に秀でたといわれる彼の性格は?
あらすじを漫画でどうぞ。
『建礼門院右京大夫集』<193~196番詞書>より
平重衡建礼門院右京大夫集平家物語
平重衡建礼門院右京大夫集
平重衡建礼門院右京大夫集平家物語

漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。

◆解説目次◆ ・登場人物
・明るく社交的な重衡
・戦地に赴く重衡と維盛

登場人物

平重衡(たいらの しげひら)
中宮・徳子の同母弟。中宮亮 兼 左馬頭。

右京大夫(うきょうのだいぶ)
中宮・徳子に仕える女房。


明るく社交的な平重衡


楽しそうだな、おい。 
こんなまるで中学生の修学旅行のようなノリを、宮中でやっていたんだと想像すると・・・。

重衡のこのエピソードを読むたびに思うのが、 これはアレだな、クラスに一人はいる、明るくて面白い人気者の男子だな、と。


実際、社交的で気さくな重衡は、維盛とは別の意味で、女房達の人気者だったようです。
重衡の性格が伝わるエピソードをいくつかご紹介します。

 ■「よく冗談をいい、ちょっとしたことでも、他人のために都合のいいように心遣いをしてくれた」(『建礼門院右京大夫集』)

 後に重衡は一ノ谷の合戦で生捕りにされ、捕虜として鎌倉に護送されるのですが、 その毅然とした態度に、頼朝も関心したと言われています。(『平家物語』)

明るくて誠実な人柄だったんだろうなということが伺えます。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

右京大夫が宮仕えしていた頃、中宮亮・中宮権亮として中宮徳子を支えていた、重衡と維盛。
女房たちからも人気の二人は、宮中における平家のイケメン公達の双璧のような存在だったでしょう。 
しかしそれから数年後には、彼らを取り巻く状況は一変します。

戦地に赴く重衡と維盛

治承三年、クーデターにより後白河院政を廃止させた清盛に対し、治承四年、後白河院第三皇子・以仁王が挙兵。以仁王の乱はすぐ平定されますが、それを契機に、各地で反平家勢力が次々と蜂起。六年にわたる内乱が始まります。(治承・寿永の内乱

この事態を受け、重衡は平家の本家の、維盛は小松家の主力として、大軍を率いて度々戦地に赴くことになるのです。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

重衡は、今回のエピソードにも見えるように、明るく社交的な人柄で宮中の人気者であった一方で、「武勇に堪ふる器量」(『玉葉』)と評されるように、戦場では連戦連勝の武将でもありました。

●平重衡の主な戦績●

治承4年(1180)5月26日 以仁王の乱
 勝利
治承4年(1180)12月 南都焼討
 勝利
治承5年(1181)3月10日 墨俣川の戦い
 勝利
寿永2年(1183)閏10月1日 水島の戦い
 勝利
寿永2年(1183)11月29日 室山合戦
 勝利

※大将軍だったが、戦闘が短時間で終わった為、実際には、戦闘に参加はしていない。(『玉葉』)

墨俣川の戦い水島の戦いでの重衡の活躍は、「えこぶんこ2」で詳しく紹介しています。
(別ウィンドウが開きます)


重衡の軍事面でもっとも有名なのは、奈良の仏教勢力を制圧した南都焼討でしょう。

治承4年12月、清盛は重衡を大将軍として大軍を奈良に派遣。反平家である南都の仏教勢力との間で激戦が繰り広げられました。
この戦いで、東大寺・興福寺の伽藍は壊滅。図らずも、創建以来の大仏までをも焼失させてしまいます。

政権を維持する為にはやむを得ないことであったとはいえ、その結果は、大将軍であった重衡自身にも過酷な運命を背負わせることになるのです。

平重衡 南都焼討 南都焼き討ち



建礼門院右京大夫集 全訳注 (講談社学術文庫)





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※参考文献/久保田淳氏校注『建礼門院右京大夫集・とはずがたり』新編日本古典文学全集、小学館/糸賀きみ江氏校注『建礼門院右京大夫集全注釈』講談社/梶原正昭氏・山下宏明氏校注『平家物語』新日本古典文学大系、岩波書店


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