風のおびただしく吹く所【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】|恐ろしき武士

寿永2年9月、後白河院は木曽義仲に平家追討を命じます。その頃、右京大夫の夢に、戦地にいる恋人・資盛が現れるのですが・・・。

あらすじを漫画でどうぞ。
『建礼門院右京大夫集』<208番詞書>より
漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。
◆解説目次◆ ・登場人物
・風のおびただしく吹く所
・盛り返す平家(水島合戦・室山合戦) 

登場人物

平資盛(たいらのすけもり)
平清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。

右京大夫(うきょうのだいぶ)
平徳子(建礼門院)に仕えていた女房。現在は退職。

風のおびただしく吹く所

この段も原文のクオリティがすごいので、ぜひ、原文をどうぞ!

●原文●
泣く泣く寝たる夢に、常に見しままの直衣姿にて、風のおびただしく吹く所に、いと物思はしげにうちながめてあると見て、騒ぐ心に覚めたる心地、言ふべき方なし。ただ今も、げにさてもやあるらむと思ひやられて
 

●現代語訳●
泣く泣く寝た夜の夢に、あの人が見慣れた直衣姿で、風のひどく吹く所に、たいそう物思いに沈んだ様子で、何かをじっと見つめているのを見て、
胸騒ぎがして、はっと夢から覚めたときの気持ちは、何とも言いようがない。
たった今も、あの人はそのようにしていらっしゃるのが想像されて
※原文は、『新全集』(小学館)より抜粋

吹きすさぶ風の中に、何かをじっと見つめて一人佇む資盛。
なんだかゾクッとしませんか?
まるで映画のワンシーンのような描写と、不安感。
夢から覚めたときの、右京大夫の背中の冷汗まで感じられる気がします。
恋人が戦地の只中にいて、いつ訃報を聞くかわからない・・・そんな逼迫した状況を経験した右京大夫にしか書けない文ではないでしょうか。
緊迫したリアリティを感じる章段です。







盛り返す平家(水島合戦、室山合戦)

この頃の平家の動向を見ておきましょう。

閏10月1日 水島合戦 平重衡・通盛軍が、木曽義仲と備中水島で戦い勝利

11月29日 室山合戦 平重衡、播磨で源行家と戦い勝利

そうです。
平家軍は次々と勝利をおさめているのです。

いずれの戦いでも、活躍しているのは平重衡です。重衡は以前は京周辺を離れることは少なく、東海や北陸への遠征には参加していませんでしたが、ここへ来て、重衡の軍事トップとしての存在が輝いてきます

平家は都を落ちた後、そのまま西走して滅亡したわけではなく、実際はそこから盛り返して、福原まで戻って来ていたのでした。

この頃都では、平家が都を奪還するという噂が真実味を帯びていたといいます。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
いよいよ運命の一ノ谷の合戦が近づいてきました。




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※「平家物語」新日本古典文学大系(岩波書店)/「平家物語必携」(學燈社)/「平家物語図典」(小学館)/「建礼門院右京大夫集・とはずがたり」新編日本古典文学全集(小学館)久保田淳氏

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【記事一覧】他のお話はこちらからどうぞ!

【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】
<プロローグ>
■建礼門院右京大夫集ってどんなお話? 1

<これが平家の公達だ!編>
■スーパーアイドル!平維盛 1
■唯一の弱点?!維盛の恋愛問題 1
■平家のムードメーカー!平重衡
■真面目な琵琶名人!平経正 1
■主役登場はさりげなく!平資盛 1

<資盛との恋~宮中編~>
■恋なんてしないはずが?資盛のアプローチ
■忘れていたのはどっち?資盛の挑発
■雪のあした。資盛、突然の訪れ
■バレたくなかった!重衡・維盛の反応 1
■右近の橘!雪の資盛in宮中

<宮中エピソード編>
■内裏近き火事。頼もしい平重盛
■後白河院最愛の美女!建春門院滋子登場
■本気で褒めたのに!高倉天皇の優しさ
■五節の櫛!平宗盛のプレゼント

<隆信との恋編>
■どういうつもり!藤原隆信の横恋慕 1
■右京大夫、宮仕えやめるってよ
■わたしは何なの?隆信の結婚
■恋は追う方が負け?隆信の失言

<平家滅亡編>
■遠くに聞くだけ。資盛の熊野詣
■資盛との再会■枯れたる花
■寿永二年■倶利伽羅峠の惨敗!
■平家都落■資盛、最後の願い
■資盛と右京大夫、今生の別れ!
■六波羅と西八条■大宰府落ち
■風のおびただしく吹く所
■梅の花と資盛■一の谷の合戦
■重衡の生け捕り■維盛の入水
■屋島の資盛へ手紙を
■資盛からの最後の便り!
■壇ノ浦の戦い! ■壇ノ浦の戦後処理

<追憶の旅編>
■北山の思い出
■大原へ。建礼門院を訪ねて 1
■右京大夫、旅に出る
■比叡坂本、雪の朝の思い出
■波の底の資盛に■星合の空

<再出仕編>
■後鳥羽天皇に仕える
■宮中で資盛の名を聞く
■藤原隆房、藤原公経との贈答
■藤原俊成九十の賀に

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