恋は、追う方が負け?!隆信との恋の終わり【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】
隆信との関係をズルズルと続けてしまう右京大夫。そんなある日、ついに目が覚める?!
あらすじを漫画でどうぞ。
『建礼門院右京大夫集』<149~153番詞書>より
藤原隆信(ふじわらのたかのぶ)
歌人。似絵の名手。
右京大夫(うきょうのだいぶ)
中宮・徳子に仕える女房。現在は退職。
このほととぎすの歌、ちょっとおもしろい応酬なので、詳しく見ていきましょう。
■右京大夫が詠んだ和歌
ほととぎすの声にかこつけて、隆信の気持ちが冷めたことへの嫌味を言ったわけですね。
それに対して・・・
■隆信の返歌がこちら
・・・さすがです、隆信さん。
右京大夫の嫌味を逆手にとって、自分もちょうど想っていたという恋歌にすり替えましたね。さすが歴戦のプレイボーイです。
この歌の面白いのは、実は隆信も、私家集『隆信朝臣集』に同じ歌を載せていることです。
『隆信朝臣集』の詞書には、「時々物申しわたりし女のもとより『ねざめに郭公(ほととぎす)をききて、かくなんおぼえつるとて、」とあります。
同じ歌に関して、
と書いているのです。
つまり、どっちも、
「相手の方から先に言ってきたんだよ!」と言っているわけです。
どっちが正しいのかはわかりませんが、お互い、自分が追いかけてる側だとは認めたくないってことでしょうね。
それにしても、隆信さん。
あんだけ熱心に右京大夫を口説いておいて、この掌返しは、ひどくないかい・・・?
おそらく隆信は、宮中で並居る殿上人たちと機知を競い合っていた頃の、才気溢れる右京大夫に興味があったんでしょうね。
そんな才媛・右京大夫が、まだ十代の平家の若造・資盛のものになったと聞いて、ちょっと手を出してみたくなった、というところだったのかもしれません。
今となっては、宮中を退いた右京大夫にかつての輝きはなく、それどころか、寂しさから、隆信に縋るような気配すら見えます。
こうなったら・・・まぁ、
冷めますよね。
ね。
『建礼門院右京大夫集』<149~153番詞書>より
漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。
登場人物
歌人。似絵の名手。
右京大夫(うきょうのだいぶ)
中宮・徳子に仕える女房。現在は退職。
追う方はどっち?ほととぎすバトル!(右京大夫vs.藤原隆信)
■右京大夫が詠んだ和歌
〔149番〕
もろともに こと語らひし あけぼのに 変らざりつる ほととぎすかな
●現代語訳●
あなたと一緒に語り合った、あの明け方に聞いたのと、少しも変わらないほととぎすの声ですね。
(あなたの気持ちは、変わってしまいましたけどね)
もろともに こと語らひし あけぼのに 変らざりつる ほととぎすかな
●現代語訳●
あなたと一緒に語り合った、あの明け方に聞いたのと、少しも変わらないほととぎすの声ですね。
(あなたの気持ちは、変わってしまいましたけどね)
ほととぎすの声にかこつけて、隆信の気持ちが冷めたことへの嫌味を言ったわけですね。
それに対して・・・
■隆信の返歌がこちら
〔150番〕
思ひ出でて 寝覚めし床の あはれをも 行きて告げける ほととぎすかな
●現代語訳●
あなたのことを思い出して、寝ざめた床でしみじみとしていた私の気持ちを、ほととぎすがあなたの所へ飛んでいって、告げたのですよ。
思ひ出でて 寝覚めし床の あはれをも 行きて告げける ほととぎすかな
●現代語訳●
あなたのことを思い出して、寝ざめた床でしみじみとしていた私の気持ちを、ほととぎすがあなたの所へ飛んでいって、告げたのですよ。
・・・さすがです、隆信さん。
右京大夫の嫌味を逆手にとって、自分もちょうど想っていたという恋歌にすり替えましたね。さすが歴戦のプレイボーイです。
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この歌の面白いのは、実は隆信も、私家集『隆信朝臣集』に同じ歌を載せていることです。
『隆信朝臣集』の詞書には、「時々物申しわたりし女のもとより『ねざめに郭公(ほととぎす)をききて、かくなんおぼえつるとて、」とあります。
同じ歌に関して、
と書いているのです。
つまり、どっちも、
「相手の方から先に言ってきたんだよ!」と言っているわけです。
冷めてしまった隆信
あんだけ熱心に右京大夫を口説いておいて、この掌返しは、ひどくないかい・・・?
おそらく隆信は、宮中で並居る殿上人たちと機知を競い合っていた頃の、才気溢れる右京大夫に興味があったんでしょうね。
そんな才媛・右京大夫が、まだ十代の平家の若造・資盛のものになったと聞いて、ちょっと手を出してみたくなった、というところだったのかもしれません。
今となっては、宮中を退いた右京大夫にかつての輝きはなく、それどころか、寂しさから、隆信に縋るような気配すら見えます。
こうなったら・・・まぁ、
冷めますよね。
ね。
※先述のように、詞書に名前は出てきませんので、漫画後半の153歌は、資盛への歌だとする説もあります。
(『式子内親王集・建礼門院右京大夫集・俊成卿女集・艶詞』和歌文学大系、明治書院)