右京大夫、西山へ【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】


右京大夫は、兄・尊円のいる西山に身を寄せます。
あらすじを漫画でどうぞ。
『建礼門院右京大夫集』<171番詞書>より

漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。

◆解説目次◆ ・登場人物
・平家政権ピンチ!
・孤独な右京大夫と、悲惨な資盛 

登場人物

平資盛(たいらのすけもり)
清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。

右京大夫(うきょうのだいぶ)
中宮・徳子に仕える女房。現在は退職。

平家政権ピンチ!

治承四年頃~寿永二年の頃の、平家の動向をまとめておきます。

治承4年(1180)
 4月 以仁王の挙兵
 6月 福原遷都
  10月 富士川の戦い
  11月 平安京へ還都
  12月 近江源氏・美濃源氏との戦い
           南都焼討

治承5年(1181)
 1月 高倉院崩御
閏2月 平清盛没
 4月 墨俣川の戦い

寿永2年(1183)
 5月 倶利伽羅峠の戦い
   6月 篠原の戦い
 7月 平家都落

・・・ああ、なんかもう大変ですね!

右京大夫が宮中に出仕していた頃とはまるで状況が違います。
渦中の資盛は、多忙で過酷な日々を過ごしていたことでしょう。

資盛はもう、このまま右京大夫を忘れてもよかったはずなのですが、この状況になってから、むしろ右京大夫との仲は深まっていくのでした。

この状況になったからこそ、本当の気持ちに正直になったんでしょうね。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ところで、今回の話で右京大夫が身を寄せたという尊円は、右京大夫の異父兄でもあり、藤原定家の異母兄でもある人物です。




孤独な右京大夫と、悲愴な資盛

実は『右京大夫集』には、意外にも、資盛とのエピソードはそれほど多くは載っていません。
(何なら、維盛の方が記載が多いんじゃないか、という勢いです。)

ところが、平家滅亡を目の前にして、一気に資盛の挙動がありありと描かれ出します。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

この頃の右京大夫は、宮中という職場を失い、さらに母を失い、拠り所をなくしてしまっていました。

一方資盛は、父・重盛を失ってからは、小松家が傍流に追いやられた為、平家一門の中でも微妙な立場に立たされるようになっていきます。
身の振り方を考えたであろう資盛は、後白河院に接近し、近習として重用されるようになっていきます。
また、資盛は追討使として戦場にも赴いていて(近江源氏との戦い等)、気が休まらない多忙な日々を送っていたと思われます。

皮肉にも、この二人が本当に心を通わせあえたのは、この状況になってからなのですね。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

二人の前に、平家滅亡の足音が忍び寄る・・・
次回に続きます。



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※参考文献/久保田淳氏『建礼門院右京大夫集・とはずがたり』新編日本古典文学全集、小学館/糸賀きみ江氏『建礼門院右京大夫集全注釈』講談社/『平家物語』新日本古典文学大系、岩波書店

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【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】
<プロローグ>
■建礼門院右京大夫集ってどんなお話? 1

<これが平家の公達だ!編>
■スーパーアイドル!平維盛 1
■唯一の弱点?!維盛の恋愛問題 1
■平家のムードメーカー!平重衡
■真面目な琵琶名人!平経正 1
■主役登場はさりげなく!平資盛 1

<資盛との恋~宮中編~>
■恋なんてしないはずが?資盛のアプローチ
■忘れていたのはどっち?資盛の挑発
■雪のあした。資盛、突然の訪れ
■バレたくなかった!重衡・維盛の反応 1
■右近の橘!雪の資盛

<宮中エピソード編>
■内裏近き火事。頼もしい平重盛
■後白河院最愛の美女!建春門院滋子登場
■本気で褒めたのに!高倉天皇の優しさ
■五節の櫛!平宗盛のプレゼント

<隆信との恋編>
■どういうつもり!藤原隆信の横恋慕 1
■右京大夫、宮仕えやめるってよ
■わたしは何なの?隆信の結婚
■恋は追う方が負け?

<平家滅亡編>
■遠くに聞くだけ。資盛の熊野詣
■資盛との再会■枯れたる花
■寿永二年■倶利伽羅峠の惨敗!
■平家都落■資盛、最後の願い
■資盛と右京大夫、今生の別れ!
■六波羅と西八条■大宰府落ち
■戦地の資盛の夢を見る
■梅の花と資盛■一の谷の合戦
■重衡の生け捕り■維盛の入水
■屋島の資盛へ手紙を
■資盛からの最後の便り!
■壇ノ浦の戦い! ■壇ノ浦の戦後処理

<追憶の旅編>
■北山の思い出
■大原へ。建礼門院を訪ねて 1
■右京大夫、旅に出る
■比叡坂本、雪の朝の思い出
■波の底の資盛に■星合の空

<再出仕編>
■後鳥羽天皇に仕える
■宮中で資盛の名を聞く
■藤原隆房、藤原公経との贈答
■藤原俊成九十の賀に

<エピローグ>
■読み継がれる右京大夫集

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