投稿

ラベル(平資盛)が付いた投稿を表示しています

梅の花と資盛。平家、福原に結集。【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】

イメージ
年が明けて、寿永3年。梅の花の名所を訪れた右京大夫。そこで、思いもかけず、資盛の名を耳にして・・・。 あらすじを漫画でどうぞ。 『建礼門院右京大夫集』<211番詞書>より 漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。 ◆解説目次◆ ・登場人物 ・なれける人を花も偲はば ・福原の護りを固める平家   登場人物 平資盛(たいらのすけもり) 平清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。 右京大夫(うきょうのだいぶ) 平徳子(建礼門院)に仕えていた女房。現在は退職。 なれける人を花も偲はば どこへも出かける気がしない右京大夫だったのですが、親類に誘われて物詣に行きます。そこで立ち寄った梅の名所が、偶然にも、資盛のお気に入りの場所だった・・・!とてもドラマチックな章段ですね。 右京大夫は、205歌詞書で、 「わが心の友は誰かはあらむ」 (私の心をわかってくれる友は誰がいようか) と語っていたように、戦地の資盛を想う不安と悲しさを本当に理解してくれる人はいないと思っていました。 そんな中、資盛に愛されていたこの梅に、自分とおなじ境遇を重ねたのですね。 右京大夫のつらい想いを共有できる友達は、人ではなくこの梅だったのです。 福原の護りを固める平家 この頃の、平家と木曽義仲の動向を見てみましょう。 1月中旬 木曽義仲、平家と和平を模索→成立せず 1月20日  宇治川の戦い・粟津の戦い 木曽義仲は、後白河法皇と決裂し源頼朝に攻められるという苦境に至って、一転、平家との和平を図りますが、結局この和平は成立しませんでした。 義仲は、 宇治川の戦い・粟津の戦い で、源義経・範頼軍に敗れ、討たれてしまいます。 ※木曽義仲と平家の和平交渉については、 えこぶんこ2 で詳しく解説しています。 (別ウィンドウが開きます) その頃平家は・・・ 屋島に本陣を構えていた平家軍は、2月4日に清盛の三周忌を福原で行うため、 大和田泊・福原 に結集。福原の東の木戸口・ 生田の森 と、西の木戸口・ 一の谷 に城郭を構え、海上には軍船を浮かべ護りを固めました。その勢力は、数万とも噂されました。 一方朝廷では、平家を武力で追討するか、...

戦地の資盛の夢を見る【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】

イメージ
寿永2年9月、後白河院は木曽義仲に平家追討を命じます。その頃、右京大夫の夢に、戦地にいる恋人・資盛が現れるのですが・・・。 あらすじを漫画でどうぞ。 『建礼門院右京大夫集』<208番詞書>より 漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。 ◆解説目次◆ ・登場人物 ・風のおびただしく吹く所 ・盛り返す平家(水島合戦・室山合戦)   登場人物 平資盛(たいらのすけもり) 平清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。 右京大夫(うきょうのだいぶ) 平徳子(建礼門院)に仕えていた女房。現在は退職。 風のおびただしく吹く所 この段も 原文のクオリティがすごい ので、ぜひ、原文をどうぞ! ●原文● 泣く泣く寝たる夢に、常に見しままの直衣姿にて、風のおびただしく吹く所に、いと物思はしげにうちながめてあると見て、騒ぐ心に覚めたる心地、言ふべき方なし。ただ今も、げにさてもやあるらむと思ひやられて   ●現代語訳● 泣く泣く寝た夜の夢に、あの人が見慣れた直衣姿で、風のひどく吹く所に、たいそう物思いに沈んだ様子で、何かをじっと見つめているのを見て、 胸騒ぎがして、はっと夢から覚めたときの気持ちは、何とも言いようがない。 たった今も、あの人はそのようにしていらっしゃるのが想像されて 吹きすさぶ風の中に、何かをじっと見つめて一人佇む資盛。 なんだかゾクッとしませんか? まるで映画のワンシーンのような描写と、不安感。 夢から覚めたときの、右京大夫の背中の冷汗まで感じられる気がします。 恋人が戦地の只中にいて、いつ訃報を聞くかわからない・・・ そんな逼迫した状況を経験した右京大夫にしか書けない文ではないでしょうか。 緊迫したリアリティを感じる章段です。 盛り返す平家(水島合戦、室山合戦) この頃の平家の動向を見ておきましょう。 閏10月1日  水島合戦  平重衡・通盛軍が、 木曽義仲 の派遣した矢田(足利)義清、海野行広(幸広)の軍と備中水島で戦い 勝利 。 11月29日  室山合戦  平重衡、播磨で 源行家 と戦い 勝利 。 そうです。 朝廷が派遣した平家追討軍に対して、 平重衡が中心となって、 平家は次々と勝利 をおさめてい...

平資盛と右京大夫、今生の別れ!【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】|現代語訳

イメージ
ついに、資盛と右京大夫、今生の別れのとき。戦地に赴く資盛の心の内には、悲愴な覚悟があった。 あらすじを漫画でどうぞ。 『建礼門院右京大夫集』<205番詞書>より 漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。 ◆解説目次◆ ・登場人物 ・寿永元暦の夢まぼろし ・戦地へ向かう資盛の葛藤   登場人物 平資盛(たいらのすけもり) 清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。 右京大夫(うきょうのだいぶ) 中宮・徳子に仕える女房。現在は退職。 寿永元暦の夢まぼろし この段は、下手な解説より、ぜひ原文を味わってみてください。 原文のクオリティがすごいので!   205番詞書は、今までの明るく平和な雰囲気から一転、戦乱の悲劇を語る次の名文で始まります。 ●原文● 寿永元暦などのころの世の騒ぎは、夢ともまぼろしとも、あはれとも何とも、すべてすべて言ふべき際にもなかりしかば、よろづいかなりしとだに思ひ分かれず、なかなか思ひも出でじとのみぞ、今までも覚ゆる ●現代語訳● 寿永・元暦のころの世の中の騒乱は、夢とも幻とも、悲しいとも何とも、言葉で表すことのできるようなものではなかったので、万事どうであったということさえ私には判別することができず、 いっそのこと思い出すまいとばかり、今に至るまで思われます 。 ※原文は、『新編全集』(小学館)より抜粋 ここから、かつて華やかな宮中で交流しあった平家の公達たちの悲劇が始まります。 清経 、 経正 、 忠度 、 重衡 、 維盛 ・・・・ そして、 資盛 。 今まで、宮中での明るく優しい彼らの姿を読んできただけに、読み進めるのが辛くなりますね。 戦地へ向かう資盛の葛藤 『右京大夫集』の中で、都落ち以前の資盛の描写は、意外にもそれほど多くはないのですが(むしろ維盛の方が多いくらい)、 205番詞書で資盛は、 戦乱に臨む悲愴な覚悟 を長文で切々と語ります。 (上の漫画のシーンです)  こちらも、是非原文でどうぞ。 ●原文● (資盛の言葉)  「かかる世の騒ぎになりぬれば、はかなき数にただいまにてもならむことは、疑ひなきことなり。 (中略)  また、もし命たとひ今しばしなどあり...

平資盛、最後の願い!【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】|平家物語

イメージ
平家都落ちの計画を知った右京大夫。動揺する右京大夫に、資盛が願ったこととは? あらすじを漫画でどうぞ。 『建礼門院右京大夫集』<205番詞書>より 漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。 ◆解説目次◆ ・登場人物 ・資盛の都落ちと後白河院 ・資盛は帰降するつもりだったのか?   登場人物 平資盛(たいらのすけもり) 清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。 右京大夫(うきょうのだいぶ) 中宮・徳子に仕える女房。現在は退職。 資盛の都落ちと、後白河院 右京大夫に語った内容を見る限り、資盛は都落ち後の平家の末路を予見していたように思えます。 けれども、実はこの時点では、資盛にはまだ 後白河院 という希望がありました。 資盛は、当時、後白河院の近習としても重用されていました。(『愚管抄』には 「ソノコロ院ノオボエシテサカリニ候ケレバ」 と記されています。) 都落ちの4日前、7月21日には、資盛は追討使として宇治方面に出陣していました。 (その後、河尻方面へ) 各方面の防衛にあたっていた平家一門は、 7月23~24日 頃にかけて、一旦都に引き揚げます。もちろん、都落ちに備えてです。 ところが、都落ち決行の 25日の朝、 後白河院は、既に鞍馬へ脱出していました 。(その後比叡山へ) ここに至って院はついに平家を見限ったのです。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 後白河院の脱出を知った資盛は、相当ショックだったであろうことが想像できます。 資盛は、大叔父にあたる 平頼盛 とともに、法住寺殿に駆けつけ、既に脱出済みの後白河院に連絡を取ることを試みます。 (平頼盛は、資盛の正妻の父・持明院基家の舅でもあるので、ここで行動をともにしたのは、その縁かもしれません。) 結果、どうなったか。 頼盛 は、後白河院の取り計らいで八条院((鳥羽院と美福門院の子・暲子内親王)に身を寄せ、後には 源頼朝の元に帰降します 。 (平頼盛の母親・藤原宗子( 池禅尼 )は、かつて平治の乱の折に 源頼朝の助命を嘆願 した人物です。その為、命の恩人の息子である平頼盛を、頼朝は疎かにはしませんでした) 一方、資盛には、取り次ぐ人もなく、院から返事すらもらえなかったといいます。 やむを得ず資盛は、西国...
【おすすめ記事】

維盛の恋愛問題 ムードメーカー!平重衡 資盛、突然の訪れ バレたくなかった 高倉天皇の優しさ 隆信の横恋慕 資盛と右京、今生の別れ 戦地の資盛の夢を見る 重衡の生け捕り 維盛の入水 平家花揃えが面白い 人物ランキング
【記事一覧】他のお話はこちらからどうぞ!

【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】
<プロローグ>
■建礼門院右京大夫集ってどんなお話? 1

<これが平家の公達だ!編>
■スーパーアイドル!平維盛 1
■唯一の弱点?!維盛の恋愛問題 1
■平家のムードメーカー!平重衡
■真面目な琵琶名人!平経正 1
■主役登場はさりげなく!平資盛 1

<資盛との恋~宮中編~>
■恋なんてしないはずが?資盛のアプローチ
■忘れていたのはどっち?資盛の挑発
■雪のあした。資盛、突然の訪れ
■バレたくなかった!重衡・維盛の反応 1
■右近の橘!雪の資盛

<宮中エピソード編>
■内裏近き火事。頼もしい平重盛
■後白河院最愛の美女!建春門院滋子登場
■本気で褒めたのに!高倉天皇の優しさ
■五節の櫛!平宗盛のプレゼント

<隆信との恋編>
■どういうつもり!藤原隆信の横恋慕 1
■右京大夫、宮仕えやめるってよ
■わたしは何なの?隆信の結婚
■恋は追う方が負け?

<平家滅亡編>
■遠くに聞くだけ。資盛の熊野詣
■資盛との再会■枯れたる花
■寿永二年■倶利伽羅峠の惨敗!
■平家都落■資盛、最後の願い
■資盛と右京大夫、今生の別れ!
■六波羅と西八条■大宰府落ち
■戦地の資盛の夢を見る
■梅の花と資盛■一の谷の合戦
■重衡の生け捕り■維盛の入水
■屋島の資盛へ手紙を
■資盛からの最後の便り!
■壇ノ浦の戦い! ■壇ノ浦の戦後処理

<追憶の旅編>
■北山の思い出
■大原へ。建礼門院を訪ねて 1
■右京大夫、旅に出る
■比叡坂本、雪の朝の思い出
■波の底の資盛に■星合の空

<再出仕編>
■後鳥羽天皇に仕える
■宮中で資盛の名を聞く
■藤原隆房、藤原公経との贈答
■藤原俊成九十の賀に

<エピローグ>
■読み継がれる右京大夫集

【コラム】
■平家物語登場人物ランキング!
■平家物語名言集!
■平家美男子カタログ!平家花揃が面白い
■平家物語おすすめ本7選!
■平家が題材の江戸川柳が面白い|
■平家物語あらすじと見所