星合の空に【建礼門院右京大夫あらすじマンガ】

七夕の夜、星を見上げる右京大夫は・・・。

あらすじを漫画でどうぞ。
『建礼門院右京大夫集』<317歌詞書>より

漫画は、原文を基にえこぶんこが脚色しています。

◆解説目次◆ ・登場人物
・五十一首の七夕の歌
・知らばや告げよ天の彦星 

登場人物

右京大夫(うきょうのだいぶ)
平徳子(建礼門院)に仕えていた女房。

平資盛(たいらのすけもり)
清盛の長男[重盛]の次男。右京大夫の恋人。

五十一首の七夕の歌

右京大夫の異名をご存じでしょうか。それは、「星夜賛美の歌人」。
右京大夫集には、星月夜を美しく描いた章段があり、(252歌詞書)右京大夫といえば、星のイメージなのですね。

そして、右京大夫集でなによりも目を引くのは、五十一首におよぶ七夕の歌たちです。

当時、七夕の夜には、七首の歌を七枚の梶の葉に歌を書き、星に備える風習がありました。
右京大夫は、そうした歌たちをまとめて、右京大夫集に収録しています。

これらがちょうど、宮中に再出仕する話の直前に配置されています。
歌集としては、ここで気分転換をはかっているかのようですね。

現実逃避の旅も終わり。
右京大夫は、平家のいなくなった宮中に再び身を置くことになるのです。






知らばや告げよ 天の彦星

右京大夫の七夕の歌には、とても素敵な歌がいっぱいあるので、いくつかご紹介します。

276歌
さまざまに 思ひやりつつ よそながら ながめかねぬる 星合の空

●現代語訳●

いろいろと想像しながら空を眺めていると、ひとごととは思えなくなった星合の空
資盛との恋がはじまったあたりでしょうか。
恋のドキドキが伝わるかわいい歌ですね。

293歌
なにごとも 変わりはてぬる 世の中に 契りたがはぬ 星合の空

●現代語訳●

何事もすっかりかわってしまった世の中で、年に一度の星合の約束だけは変わらない七夕の空よ。
平家滅亡の激動を経ての歌。世の中も、自分の境遇もすっかり変わってしまったのに、そんなことに関係なく、今年も星は空に輝くのです。

303歌
七夕の 契りなげきし 身のはては 逢ふ瀬をよそに 聞きわたりつつ

●現代語訳●

たまにしか会えない七夕の契りに同情していた自分は、とうとう、年に一度の逢瀬すらなくなって、よそごとに聞くだけになってしまった。

317歌
嘆きても 逢ふ瀬を頼む 天の河 このわたりこそ かなしかりけれ

●現代語訳●

星たちは嘆いても、天の河での逢瀬をあてにすることはできるけれど、わたしとあの方の間の渡りにはそのような希望もないのが悲しい。
漫画でとりあげた歌です。
資盛とこの世で二度と逢うことができない右京大夫は、一年に一回は会える織女と彦星よりも悲しい境遇なのです。

322歌
いつまでか 七つの歌を 書きつけむ 知らばや告げよ 天の彦星

●現代語訳●

いったいいつまで私は、七夕に七首の歌を書き付けるのでしょうか。知っていたら教えてください。天の彦星よ。
毎年毎年、七夕が来るたびに、こう思ったんでしょうね。
資盛はもういない。何の為に生きているのかわからなくても、それでも月日は淡々と過ぎていくのです。

いいんですよ、右京大夫!
あなたは生きてください!!

そして、お父上から受け継いだ文才で、あなたが見聞きした平家の方々のご様子を、後世に書き残してください!

・・・って、訴えかけたくなります。

現代の我々が、重衡・維盛・資盛のかっこいいエピソードを知ることができるのは、右京大夫先生のおかげなんですもの。

平家系図


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※参考文献「平家物語」新日本古典文学大系(岩波書店)/「平家物語必携」(學燈社)/「平家物語図典」(小学館)/「平家の群像」(岩波新書)高橋昌明氏/平家後抄(朝日新聞社)角田文衛氏/「建礼門院右京大夫集・とはずがたり」新編日本古典文学全集(小学館)久保田淳氏


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【記事一覧】他のお話はこちらからどうぞ!

【建礼門院右京大夫集あらすじマンガ】
<プロローグ>
■建礼門院右京大夫集ってどんなお話? 1

<これが平家の公達だ!編>
■スーパーアイドル!平維盛 1
■唯一の弱点?!維盛の恋愛問題 1
■平家のムードメーカー!平重衡
■真面目な琵琶名人!平経正 1
■主役登場はさりげなく!平資盛 1

<資盛との恋~宮中編~>
■恋なんてしないはずが?資盛のアプローチ
■忘れていたのはどっち?資盛の挑発
■雪のあした。資盛、突然の訪れ
■バレたくなかった!重衡・維盛の反応 1
■右近の橘!雪の資盛in宮中

<宮中エピソード編>
■内裏近き火事。頼もしい平重盛
■後白河院最愛の美女!建春門院滋子登場
■本気で褒めたのに!高倉天皇の優しさ
■五節の櫛!平宗盛のプレゼント

<隆信との恋編>
■どういうつもり!藤原隆信の横恋慕 1
■右京大夫、宮仕えやめるってよ
■わたしは何なの?隆信の結婚
■恋は追う方が負け?隆信の失言

<平家滅亡編>
■遠くに聞くだけ。資盛の熊野詣
■資盛との再会■枯れたる花
■寿永二年■倶利伽羅峠の惨敗!
■平家都落■資盛、最後の願い
■資盛と右京大夫、今生の別れ!
■六波羅と西八条■大宰府落ち
■風のおびただしく吹く所
■梅の花と資盛■一の谷の合戦
■重衡の生け捕り■維盛の入水
■屋島の資盛へ手紙を
■資盛からの最後の便り!
■壇ノ浦の戦い! ■壇ノ浦の戦後処理

<追憶の旅編>
■北山の思い出
■大原へ。建礼門院を訪ねて 1
■右京大夫、旅に出る
■比叡坂本、雪の朝の思い出
■波の底の資盛に■星合の空

<再出仕編>
■後鳥羽天皇に仕える
■宮中で資盛の名を聞く
■藤原隆房、藤原公経との贈答
■藤原俊成九十の賀に

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